「お金がないということが生きることの原動力になっている人と、それが無気力を呼び込んでしまっている人と、ふた通りありましたね」

 『赤目四十八瀧心中未遂』を読んでからハマッてしまった車谷長吉さんの『反時代的毒虫』(平凡社新書)は、対談集である。

 その「文学カネ問答」の章に、この一文があった。

 ドキッしましたよ、わたしはどちらの人間なのか、と。

 「(無気力組のほう)つまり金がないということの行き着く先は、浮浪者というかホームレスという形になっていくと思いますね。

 比喩的な意味では、この世での居場所を失うということです。

 じゃあ気力がある人はどうなるかと言ったら、ドストエフスキー『罪と罰』みたいに人を殺すんです。

 ラスコーリニコフみたいに人を殺すとか強盗に入るとか」

 と、具体的に述べている。

 そう言われると、どちらにしても、そんな勇気はない。

 で、対談相手の奥本大三郎さんが、「気力はあるが、判断力がないんじゃない」と突っ込むと、

 「判断力のある人は、だいたい水商売に行くんです。

 なぜ水商売に行くかといったら、この日本社会では保証人になってくれる人がない限り、水商売以外では、暮らしていけないからです」

 

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