6月20日のスポーツ紙によると、元プロ野球投手・佐々木主浩氏が競走馬を所有したそうだ。
ホッカイドウ競馬で7月にデビュー予定のその馬は、ミスターフォーク。
佐々木の競馬好きはつとに有名であったので、やっと本懐を達成したということだろう。
馬名は、ダイマジンだと予想していたが……。
これで落馬なんてしたら、翌日の新聞には、
「伝家の宝刀、佐々木のフォーク、落ちた!」
なんて見出しでも載るのか。
もう15年ほど前になるが、わたしが初めて競走馬に出資したのは、タイムトラベラーという馬だった。
父ノーザンテースト、母ジュウジアローという血統。生産は社台。松本捷平さんという大先輩のライターがいた。
『週刊宝石』を中心に活躍されており、競馬では、『競馬の達人』や『競馬最強の法則』などで健筆を振るっていた。
特に、地方競馬モノのでは第一人者だった。
その松本さんが、学研の社長・古岡秀人さんを取材したときのことだった。
古岡さんは、中央競馬の馬主さんとして有名だ。
鳴尾記念3着のカゲマルや、富士S勝ちのオラクルアスカなどを所有していた。
「古岡さんが、タイムトラベラーって馬を譲ってくれるというんだよ」
「見出しに『日本が負けた』とか『ニッポン惨敗』だとか書いてあるけど、本当かねぇ。戦争中なんて、毎日毎日、日本が勝った、日本の快進撃、なんて書かれていたけど、全部ウソだったのにねぇ。結局、負けてしまったじゃないか。大本営発表なんて、眉唾だよ」
いや、おばあちゃん、もうそんな時代じゃないんだよ。
オーストラリアに負けたんだよ。
「そうかい? じゃあ、もう、東京オリンピックは面白くなくなったね」ボケているのである。
もう90を超す年齢だから、今がどの時代なのかがわかっていない。
わたしのことを、当時、隣に住んでいた「ヒデスケさん」なんて呼ぶのだ。だが、新聞情報に対する態度は、この一言で理解できるであろう。
大本営発表によって翻弄されたことが、身にしみこんでいるようだ。
だから、自分の目で確かめたことしか信じていない。
銃後を守り抜いてきた女性のしたたかさだろう。


